畳職人として、新しく建てる住宅の和室に敷く畳をつくったり、
すでに使われてきた畳を張り替えるなどの仕事をしています。
関東と関西で畳のサイズが違うことはよく知られていますが、
関東の畳でも実際の住宅ごとに違いがあり、新畳をつくるときには現場での採寸から始めます。
また、用いるイグサの種類を選んでいただくので、
ほぼフルオーダーメイドの床材と言えますね。
畳づくりで使う畳包丁には、いくつか種類があります。
この畳包丁はサイズが大きく、主に畳床の裁断に使っています。
採寸したサイズに合わせるのですが、畳表や畳縁を畳床に巻き込むように縫うことを踏まえ、
仕上がリサイズより少し小さめに切ります。
また、畳床の断面がやや逆台形になるよう、角度を付けるようにしています。
垂直に切り落としてしまうと、床にきれいに収まらないんですよ。
畳づくりは、家業を継ぐ形で父から教わりました。
小学生の頃から、「畳屋さんを継ぐんだ」と公言してきて、
高校卒業後から仕事に携わるようになりました。
最初は、ござづくりです。
そこで、まず畳針の使い方を 覚えました。
その後、張り替えや修繕などを手伝いながら、道具や材料の扱い方を学んでいきました。
そして数年を経て、ようやく新畳づくりに関わるようになれました。
何より畳の魅力は、そのままゴロンと横になれることだと思っています。
旅館でも、部屋に案内されると、まず横になってしまいますよね。
現代は 生活様式が変わり、住宅から和室そのものが減ってしまい、ちょっと残念 です。
実は、ちゃんとつくった畳は張り替えさえすれば、一生使い続けられるんです。
フローリングやカーペットの良さもありますが、畳の良さにも目を向けてほしいですね。
畳職人:永野 信行