ガラス吸盤器

私は主にサッシを取り扱う仕事をしています。

業界では金属建具業と呼ばれ、サッシだけでなく金属製のドアや門扉なども担当分野に含まれます。

ガラスをはめた状態のサッシを現場にもっていくことが多いので、

昔ながらの職人を知っている一般の方からすると、ガラス屋さんに見えるかも知れませんが、

職人充ちからは“サッシ屋さん”と呼ばれています。

この道具はガラス専用の吸盤器で、私充ちは「タコ」と言っています。

サッシにガラスを組み込むときや、はめ殺しのフィックス窓にガラスを入れるときに使います。

タコは大きく分けて2つのタイプがあります。

ゴム製の吸盤部分をそのまま ガラスに押し当てるタイプと、

ガラスに付け方あとポンプでガラスと吸盤のあいだの空気を強制的に抜いてしっかりと吸着させるタイプです。

使うときにはいくつかの注意点があります。

ひと口に住宅用ガラスと言っても、

・表面がツルツルの一般的なガラス

・表面がザラザラし方曇りガラス

・網状のワイヤーが入った菱ガラス

などがあり、さらに厚さも複数あるんです。

そして、曇りガラスは吸着しにくい、薄いガラスは吸着力が強いと割れるといった特性をもっ ています。

ですから、ガラスの種類に応じてタコの使い分けが必要なんです。

また、ガラスは、破損しやすい素材ですから、

絶対に角をぶつけないよう、運ぶときには細心の注意を払います。

加えて、サッシ・ガラスメーカーから出る新製品の特徴も把握しなければなりません。

職人仕事について「何年で一人前」という表現がよく聞かれますが、

この仕事は10年経っても一人前になれない感覚です。

ただ、それゆえに飽きるっとなく、知識と経験を深める充実感を得られるんです よ。