小さい頃からモノを作ることが好きで、大工の仕事に就いてからも、趣味でレザークラフトを嗜んできました。
この「喰切(くいきり)」は、仕事でもレザークラフトでも使うことのある道具です。
主な用途は、釘やネジの頭を切断すること。
頭のはみ出ている部分を開いた刃で挟み、そのまま握ると、簡単に切り落とすことができるのです。
もともと喰切は、日本で古くから使われてきた和道具の一つらしいです。
似たような道具で、配線コードなどを切るニッパーがあります。
挟んで切る使い方は同じですし、見た目のデザインも近いのですが、実は大きな違いがあります。
喰切は、ネジ部分から刃先までの距離がとても短いのです。
テコの原理で言うと、ネジ部分が支点、刃先が作用点となります。
一方、力点となる手をあてがう柄の部分から、ネジまでの距離は長めの設計となっています。
つまり喰切は、少ない力で刃先に大きな力をかけられる設計・構造となっているのです。
最近では、エンドニッパーという呼び方の喰切もいろいろ出ていますが、ネジから刃先までの距離を見比べると、そのルーツが喰切なのかニッパーなのか、すぐにわかります。
大工仕事では、接着剤が固まるまで一時的に打ち込んでいた仮釘を引っこ抜くときにも重宝します。
レザークラフトでは、カシメやホックを外すときに使います。
加工時に打ち損ねてしまったケースや、使い続けて壊れてしまったものを交換するケースで、スパッと切り落とすのです。
木材を相手にする他の刃物のように、メンテナンスして使い続けられるものではありません。
刃先が欠けたら、買い換え時です。
現在、サイズの異なる二つの喰切を持っています。
これからも買い換えていくことになるので、取り回しやフィット感にこだわってお気に入りを見つけたいです。
和田 英明