小さい道具や金物を入れて腰に着ける袋を、「腰袋」と言います。
必要な道具や金物を、わざわざ取りに移動しなくても、
その場ですぐに取り出すことができる便利なアイテムです。
最近は丈夫で型崩れしにくいナイロン製の腰袋を使う大工が多いようですが、
私は革製の腰袋を使っています。
学生時代から私は、ジャンパーやブーツ、財布などの革製品を愛用してきました。
そして、大工になってからレザークラフトを趣味にしている人と出会い、
自分でもつくってみたいと思いはじめました。
最初に買ったのは、カット済みの革を縫うだけの、初心者向けコインケースキットです。
その後、スマホケース、ベルト、バッグなどに挑み、これまでに10点ほどをつくりました。
いま使っている長財布も、自分で革を切り、木づちと刻印で柄を打った1点モノです。
革は使っているうちに、アメ色に変化していって独特な雰囲気を醸すようになります。
そこが好きなんですね。
初めて買った腰袋はナイロン製でしたが、その次からは革製に変えました。
そして、この腰袋は3代目になります。
気に入った革製の腰袋がなかなか見つからないときに、
知り合いのツテで問屋さんに電話連絡して、ようやく入手できた代物なんですよ。
ナイロン製に比べると、徐々に馴染んでくる良さがあると同時に、
個々のポケットの口が広がってくる欠点もあります。
ただ、自然素材の魅力には変えられません。
室内の造作など、人の目に触れる部分の作業が好きなのですが、
それも自然素材である木材の魅力を引き出すことが求められるからかも知れません。
ゆくゆくは自分で革製の腰袋をつくって、現場に出てみたいと思っています。
大工・和田英明