壁、床、天井の仕上げや装飾など、内装全般を手掛けています。
無垢材を使う創建舎の住宅では、主に紙製クロスを貼る仕事を担当しています。
近年の住宅建築ではビニール製クロスが主流となっていますが、
紙製は通気性と調湿性に優れており、特に無垢材との相性が良いのです。
地ベラは、カッターでクロスを切るときに使います。
“チリ”と呼ばれる2つの面が接する壁の隅部分では、
隙間ができないようクロスをわずかに被せて仕上げなければなりません。
地ベラをあてがうと、そのわずかな重なりを正確に切り出せます。
ですから、市販の地ベラは状況に応じて使い分けられるよう、
あてがう板の厚さは0・6ミリと1・2ミリが用意されており、長さも複数ラインアップされています。
この地ベラは、使い勝手にこだわって自作したものです。
30センチ×7センチに切り出したステンレス板を、自らグラインダーで削って形状を変えたのち、
シナベニヤという軽い合板で挟みリベット留めしています。
市販品の板は左右対称のデザインが一般的ですが、
この1本で幅や角度が狭い箇所でも使えるよう非対称にしました。
肝心の厚さは1ミリ。
木材に紙製クロスを合わせるにあたって、
市販品の厚さでは、仕上がりの美しさや耐用性にどうしても不満が残ると感じたからです。
もともと私は、大学で自然環境と社会の関わりを学んでいました。
そして、大学卒業後は壁面緑化などの仕事をしていたのですが、現場で道具の面白さを知り、
内装業を営んでいた父に頼み込んで、17年前に現在の道に進みました。
その2年後、自然の力を生かす紙製クロスの存在を知り、大学での学びと家業が一本の道で繋がったのです。
紙製クロスは繊細なため作業の難しさもあります。
でも、ビニール製にはない住み心地を届けられますし、今後もこの仕事を長く続けていきたいと思っています。
小関内装・小関雄嗣