結ぶ家

 もともと家族で八百屋さんを営まれていたさま。お店をやっていたころは、ご近所の方がフラッと立ち寄ってくれ、買い物ついでに世間話をしたりと、結びつきも強かったということで、建替えたあとも、そんな風景が残る、家族と街を結んでくれる住まいというのが、家づくりのテーマでした。

 そこで家の中心にLDKと街を繋ぐ外部デッキを設けて、近所の人が昔のようにふらっと立ち寄れる、アウターリビングを計画しました。この場所が家族とご近所の人を繋ぐ大切な場所です。また、敷地がうなぎの寝床のような細長い形状ということもあり、この空間は坪庭としての役割も果たします。

 1階のLDKはアウターリビングに面しており、周囲を住宅に囲まれた中でも、日当たりや風通しを確保しています。プライベート空間のある階においても、光のホールとして、視線の抜けや広がりを感じさせてくれます。

 この家には採光をとる目的で、もう一つ面白い工夫があります。2階廊下の一部がガラスを敷いたスノコ床となっており、1階に光が落ちるように計画をしています。天窓を家の中につくってしまうイメージです。直射日光ではなく、ガラスやスノコを通ってくる光は柔らかく、1階LDKは穏やかな優しい空間になりました。

 コンパクトな住宅ですが、アウターリビングや、スノコ床など、住む人の暮らしを考えた工夫が詰まった住まいとなりました。私も近くにいった際は、フラッと立ち寄るのを楽しみにしています。

物件情報

木造2階建て
1F 44.71㎡
2F 43.88㎡
延床 85.59㎡