堅牢な箱と自由な中身

こんにちは、仲間です。

先日、「松川ボックス」という名作住宅を見学してきました。

とても良い空間体験ができ、多くの学びがあったので、その事について少しお話ししたいと思います。

松川ボックス(竣工1971)は、設計者の宮脇檀さんがボックス・シリーズと名付け設計した住宅群の中の一つで、特に高い評価を受けた建物です。

大きな構成としては、RC造のボックス(屋根、外壁、基礎)の中に、木造のボックス(間仕切り壁や造作家具)が嵌め込まれた入れ子構造になっています。

外側のRC造のボックスは、厚みのある頑強な作りで、外部の雨風や暑さ寒さから家族の暮らしを守ってくれます。また、南西側の中庭と上空に向けては大きな開口が設けられ、風景や光をたっぷりと取り込み、明るく健康的な内部空間を生み出しています。

内側の木造のボックスは、構造的に建物を支えていないので、吹き抜けに大きく持ち出した2階の木造ボリュームや横長の開口部など、住まい手の要望や設計者の考えに沿った自由な形でデザインされています。

つまり、RC造の堅牢な箱が安定した内部空間を確保しているので、中身は暮らしに合わせて好きなように設えて下さい!という構成になっているのです。

日本の住宅の平均寿命は約30年とかなり短命です。その理由は老朽化によるものだけではなく、長い年月の中で変化する暮らしの形に合わなくなり、手放されることも大きな要因だと言われています。松川ボックスを設計した宮脇さんは、半世紀も前から住宅が建てては壊されていく悲しい状況を予見できていたからこそ、ボックス・シリーズの構想に至ったのかもしれません。

長く安心して暮らす事のできる住まい、暮らしの変化に柔軟に対応できる住まい、子や孫世代に喜んで住み継いでもらえる住まい、、。

そんな理想的な住宅の在り方を実現する一つの形として、松川ボックスは現代にも通用する大きなヒントを与えてくれている気がします。

(仲間)

—追伸—

今回、松川ボックスの内部の写真を載せる事はできませんでしたが、他にも多くの魅力の詰まった住宅です。下記サイトで予約をすれば見学可能なので、お時間のある方は是非足を運んでみてくださいね。

▽松川ボックス 見学予約サイト
https://coubic.com/themirror