素人感覚 と 高い設計力 の両立

はじめまして。11月から創建舎に入社しました仲間です。

入社する少し前に、一人旅で京都、奈良の建築物を見て回りました。世界遺産や国宝に指定されている数多くの有名なお寺や庭園を見学しましたが、旅の中で最も感動したのは、街中にひっそりと 建つ「駒井家住宅」 という一軒の家でした。

リビングルーム。大きな開口から明るい光が差し込む。

駒井家住宅は、京都府左京区北白川にある遺伝学者の駒井卓博士の元邸宅で、設計はアメリカ人建築家のV.M.ヴォーリズ(1880-1964)です。

総二階で切妻屋根のシンプルなかたちの住宅の中には、質素で明るく、ゆっくりとくつろぐ事ができる多様な居場所が設えられています。

リビング脇の造付けソファ。お昼寝に丁度いい。
2階から階段を見下ろす。明るく伸びやかな階段は昇り降りが楽しい。
サンルーム。朝、この椅子に腰かけて眠気を覚ましたい。
離れの温室。ここでコーヒーを飲みながら読書をしたい。

設計者のヴォーリズは建築の教育を受けた事がなく、高校の英語教師として来日し、日本で建築家のキャリアをスタートさせた異色な経歴の持ち主です。だからでしょうか。建築家として自分の作風を表現しようという奇抜さが空間に全くなく、ただただ素人感覚で「こんな場所があったら心地良いだろうなぁ。」と思い浮かべた空間を、高い設計力でまとめ上げている様な感じがしました。

この住宅に強く惹かれたのは、設計者のそういった素直な気持ちや思いやりが空間体験を通してストレートに伝わって来たからかもしれません。

ヴォーリズのような精度でイメージを空間に落とし込む力はまだありませんが、自分が心地良いと思う感覚を大切に創建舎での家づくりに取り組み、その想いをしっかりまとめる事ができる設計力を日々磨いていきたいと思います。

これから、どうぞよろしくお願いします。

(仲間)