どうも、仲間です。
今回は最近感銘を受けた一冊を紹介したいと思います。
その本のタイトルは「民藝とは何か」です。
著者は美術評論家の柳宗悦(1889〜1961)で、1925年から始まった民藝運動を先導した人物です。
そもそも民藝とは「民衆の為の工藝」の略語で、貴族が部屋に飾るような高級な藝術作品ではなく、民衆の暮らしの中から生まれた日用品に美しさを見出し、評価を与えました。
柳宗悦は本の中で、民藝品を定義する上でいくつかのキーワードを挙げていましたが、その中から特に大切と思われる3つを紹介したいと思います。
■用の美
生活する上で必要に応じて生み出された道具は、その実用性のデザインに美しさを備えているという視点です。下写真の湯呑みは、手で持つ下部は荒焼きのザラザラとした仕上がりで、すべり止めの役割があります。口を付ける部分は釉薬でツルツルの仕上がりとして口触りの良い湯呑みが形作られています。お茶を飲むという行為に適したデザインが、結果として美しく目を愉しませるものになっており、本の中で語られている用の美の在り方を示しているように思います。

出雲の出西窯で作られた民藝品。持ちやすく愛着の湧く形。
■匿名性
高価な製品は、それを作った職人が誰なのか、ブランドはどこなのか、が価値を決める大きな基準になります。しかし民藝においては誰が作ったのかは重要ではなく、名もなき職人の実用に応じた健全なものづくりを評価します。下の写真は、京都のフリーマーケットで購入した安価な竹製のお箸です。製作者は不明ですが、とてもよくできています。表面は柿渋塗装が施され木材保護の役割を果たしつつ、深みのある色味を演出しています。また先端が非常に細い為、食べている時に口の中で箸の存在をあまり感じません。市場的にはブランド価値のない品が、高級な製品に何ら引けを取らない美しさと使いやすさを有しています。

■地域性
日本列島は南北に長く、それぞれ固有の気候風土があります。
民藝では、その地域の特徴に合わせて必然的に生まれたデザインに価値があるとしています。
下の写真は青森の「こぎん刺し」の巾着で、元々着物の編み方として発展した民藝品です。
江戸時代の農民は麻の着物しか着る事が許されていなかったので、隙間を埋める為に麻布に木綿糸で刺し子を施し寒さ対策をしていました。その刺繍模様が美しく、柳宗悦も高く評価したそうです。津軽地方の厳しい寒さに対応した庶民の工夫が、独自の表現を生み出した好例ではないでしょうか。

この本を読んでから、写真の例に挙げたような民藝品に出会っては集める事が趣味になりつつあります。
民藝品に囲まれていると、利潤優先ではなく作家の個性を表現するのでもない純粋なモノづくりの在り方が感じられます。この様な思想で家づくりをしたら一体どんな住宅になるのでしょう。現代において実際に表現するのは大変に難しいことだと思います。ただ唯一その作り手になり得るのは、大手住宅メーカーでも著名な建築家でもなく、その土地の事を深く理解し熟練した設計施工の技術を持った地域工務店なのではないでしょうか。縮小に向かっていく社会で量より質の時代となってきた今、民藝品としての住宅の在り方が求められ始めているように思うのです。
民藝運動のはじまりからちょうど100年、もう一度この思想を見直して家づくりに結び付けたい、という探求心が湧いてきた一冊でした。
(仲間)


