最小限住宅

どうも、仲間です。

突然ですが、皆さんが家族3~4人で暮らすには最小でどれ位の住宅が必要だと考えますか。

その問いに解答した住宅が戦後間もない1952年に建てられました。

増沢洵(1925~1990)の設計した「最小限住宅」という作品です。

この住宅は建築面積がたったの9坪、延床面積が15坪(49㎡)という規模に設計者自身とその家族が住む想定で作られました。

あえて小さくしたかった訳ではなく、戦後の貧しい時代で住宅金融公庫の融資(住宅ローン)を受けられる最大規模が延床60㎡だったそうで、それ以内に納めざるを得ない背景がありました。

1.2階平面図 3間×3間という小さな正方形の平面

プランを見ていくと色々と面白い点が見つかります。

■「間仕切り壁」が少ない

水廻り以外には間仕切壁がなく、開閉可能な建具で仕切られています。

こうする事で限られた空間をなるべく一体的に感じる事ができます。

■「玄関」がない

この住宅には玄関がありません。南側のウッドデッキから直接居間にアプローチします。

現代の常識では考えられませんが、これは縁側から室内に入る日本の古い民家の継承だそうです。

■「大きな吹抜け」がある

この規模にも関わらず居間の上部には3坪分の吹抜けがあります。

小さいからこそあえて思い切る事で、広さや大きさを感じる事ができるのかもしれません。

僕はこの住宅を見て、何とか家族3~4で住めそうだなと感じました。

また小さくローコストに建てたにもかかわらず、モダンで気品があり、安っぽく感じない所も、この住宅の凄さだと思います。

時代の制約によって生まれた最小限住宅の姿を改めて学ぶことで、現代にも通用する豊かな住まいをつくるヒントが得られそうな気がします。

ちなみにこの住宅は、増沢洵が若干26歳の時に設計したそうです。

その若さでここまで洗練された住宅が設計できた事実に驚愕します。

でももしかすると、変に知り過ぎていなかった事がこの名作を生みだしたのかもしれません。(にしても凄い)

仲間

立面図 南面に大胆に開口が取られている。