やっぱり吉村順三

こんにちは。仲間です。

突然ですが、みなさんは吉村順三という建築家を知っているでしょうか。
住宅設計に関わる人ならば知らない人はいない、と言って良いほどの大巨匠で、没後25年以上が経った今でも多くの設計者に尊敬され影響を与えている人物です。

そんな吉村順三の展覧会が3月末まで開催していたので、先日、駆け込みで行ってきました。

吉村さんの手がけた作品の図面や模型がいくつも展示されてる充実した内容でしたが、思いの外サラりと見終えてしまいました、、。

何か見落としてるような気がしたので、もう一度見直していくと、じわじわと「敷地に対して上手く計画されているな」「細部まで設計が行き届いているな」と、レベルの高さが読み取れてきました。

何故すぐに作品の凄さに気付けなかったのでしょうか。
それは、しっかり注意を向けないと見過ごしてしまう程に吉村建築は“地味”なのです。

軽井沢の山荘の半外部空間。ここに座るだけで自然と一体になれる。気持ちいい。

ほとんどの建築家は、見たことのない奇抜な形を作ろうとするものですが、吉村さんにはそのような欲がほとんど感じられません。それよりも空間の”気持ちよさ”や”使いやすさ”に重きを置いて、徹底的に練り上げた結果、洗練されたシンプルな形が浮かび上がってきた、という感じです。
しかし、設計を練り上げる精度が次元の違うレベルで実現されていた事で、地味でありながらも多くの人から注目され、何十年も評価され続けたのだと思います。

吉村さんの図面を見ていると、あまりの緻密さに感動と同時に、どれだけしぶとく時間をかけて検討したのだろうと、気が遠くなる(少し息切れしてしまうような)感覚にもなります。

吉村順三という建築家は、この完成度まで持って行く過程を愉しんでいたのでしょうか。
それとも苦しかったのでしょうか。
おそらくほとんど苦しい時間だったのでしょうが、その時間すら愉しんでいた、というのが実際の所ではないでしょうか。

僕も住宅設計に携わる人間として、本当に良いものを作る、というところに執着心を持って、日々の図面を苦しみながらも愉しく描いていきたいと、この展覧会を通して思わされました。

(仲間)

ミニ山荘型ポスト とても愛嬌のあるデザイン。

P.S
吉村順三のデザインした「たためる椅子」を買おうか本気で検討しています。
少し高めですが一生ものの家具と思ったら安い気も、、、。
今、決断しました!買います(笑)