雨やどりproject

こんにちは、仲間です。
遅くなりましたが、昨年10月に参加した「股旅社中デザイン競技会」について振り返ります。
これが、なかなか面白い取り組みになりました!自信作です。

まず、やどりは「股旅社中」という、家具デザイナーと工務店と住まいに関するメーカーが協働して新しい家づくりに取り組む活動に参加しています。

股旅社中の取り組み:家具デザイナー村澤さんとのWSの様子

そんな股旅社中のメンバーで年に一回、住宅設計を一層豊かなものにするために、独自の家具、道具のデザイン開発の技能を競い合うデザインコンペティションを開催しています。
それが今回お話ししたい「股旅社中デザイン競技会」です。
>>股旅社中について詳しくはこちらから

今年で7回目となった股旅社中デザイン競技会ですが、回ごとにテーマが異なります。
今回のテーマは、
「“共創で開発する”おうち時間を豊かにする家具道具」。

“共創”ということで、私たちだけでものづくりをするのではなく、メーカーさんとタッグを組み、より質の高い家具道具の開発に取り組みました。

私たちの共創のお相手は、三重県の製材所 nojimokuさん。
(とっても面白い製材所さんです!ぜひホームページをチェックしてください。)
打ち合わせを重ねる中で、私たちが選んだ素材は、nojimokuの敷地で数年間雨ざらしにされていた無塗装の木材でした。

数年間雨ざらしにされていた木材が三重から届く。

雨ざらしにされた木材はグレーで、どこか艶感があります。 (このような質感を北欧ではシルバーグレーと表現するそうです。)
見方によってはカッコいい?この材料を使って4つのプロダクトを作りました。

額縁

モビール

ペンダントライト

ろうそく立て

昨今、モノづくりの世界では、優れた工業製品が多く出てくる中で、木材もそれらと同じように、劣化せず新品のキレイな状態をずっと保ち続けるため、塗料でコーティングするようになりました。
しかし、それと引き換えに木の香りや手触り感、豊かな表情も失われてしまったように思います。

一方、今回用いた雨ざらし材は、常識的に考えると、もはや廃材と見なされるような木材ですが、 数十年かけて熟成させる事で深みが増し、価値が高まるワインのように、 経年変化で黒ずみ、割れができる木材の味わいを楽しむ視点を持ってモノづくりをする事で、木の本来持つ魅力が大きく引き出されたように思いました。

雨ざらし材サンプル(雨ざらし歴13年物)

競技会当日、ある審査員の方が、私たちのプロダクトの目の前で
「本当は木材ってこうゆうことなんだよね、分かってる、そうだよね、、。」
とつぶやいたのが印象的でした。

その言い方から、手厚い処理がなされた木材が本来の個性を失っていることに気付いてはいるけど、世の中の常識や価値観が、そのようなモノづくりを許してくれないんだよ、という葛藤の気持ちが見え隠れしているようでした。

確かに今回のプロダクトが実際に理解されて、欲しいと思われるにはハードルがあるかもしれません。しかし「無添加」「無加工品」の食材が健康的で良いものと価値を高めているように、木材も少しずつながら、素材そのままを受け入れる方向に世の価値観が進んでいるようにも感じるのです。

今回の取り組みを「雨やどりproject」と名付け、野地木材さんと共に長く地道に続けていくことにしました。

この価値観を持つことで、これから作るやどりの木の家が、より味わい深く魅力的なものになっていったら良いなと思います。

ベストパフォーマンス賞いただきました!

(仲間)